高齢化時代の賃貸経営:改正住宅セーフティネット法で広がる安心と空室対策
SimpleUp事業部 ユニコム株式会社
ヤブシタ

「高齢者に部屋を貸すのは不安…」
皆様も、そんな思いから入居を断ったご経験はありませんか?
孤独死や認知症、保証人不在といったリスクを心配する一方で、少子高齢化が進む中、高齢入居者を避け続ければ空室が増える一方です。
では、どうすれば安心して貸せるのでしょうか。
その答えのひとつが、改正住宅セーフティネット法にあります。
今回の改正では、終身建物賃貸借制度、残置物処理のルール整備、認定保証制度、居住サポート住宅といった仕組みが整えられ、大家様・管理会社様が抱える不安を軽減しながら、高齢者受け入れを可能にする環境が整いつつあります。
本コラムでは、その具体的なポイントと実務への活かし方を、わかりやすくご紹介いたします。
1,高齢化が進む賃貸住宅市場
いま賃貸住宅市場では、かつて50代で契約した入居者が70代を迎え、体調や家族関係が変化する中で「孤独死」「認知症」「施設入所に伴う退去」「保証人が見つからない」といった課題が急増しています。
一方で、すでに400万世帯以上の高齢者が賃貸住宅に暮らしており、大学生の賃貸入居者数をはるかに上回っています。それでもなお、新たに賃貸を借りる際には5人に1人が入居を断られるのが現状です。
「高齢者に貸すのは不安」という気持ちは自然ですが、こうした拒否感が強まるほど空室リスクは高まります。
改正住宅セーフティネット法のポイント
こうした課題に対応するため、住宅セーフティネット法が改正されました。大きな柱は次の3つです。
①大家と要配慮者が安心できる市場環境づくり…高齢者や住宅確保要配慮者が安心して民間賃貸を利用できる環境を整備。
例:残置物処理のルールを明確化、保証制度の充実など
②入居中サポート付き賃貸住宅の普及促進…見守りや安否確認など「生活支援」が付帯する住宅を増やす。
例:センサーを活用した異変検知、定期訪問サービス。
③住宅と福祉の連携強化…不動産業者と福祉関係者が地域で顔の見える関係を築き、実務レベルで協力。
例:居住支援協議会※を通じたケース共有。
※居住支援協議会とは:市区町村に設置される協議の場で、不動産会社・大家・福祉関係者・行政が参加し、住宅確保要配慮者(高齢者、障がい者、生活困窮者など)の住まい確保について協議・連携するプラットフォームのこと。高齢者、障がい者、生活困窮者など)の住まい確保について協議・連携するプラットフォームのこと。
注目すべき制度と活用方法
①終身建物賃貸借制度
契約が入居者の死亡で終了するため、相続人探しの手間が不要。高齢者に貸す際の大きな不安を解消します。
改正による利便性向上
これまでは物件ごとに認可申請が必要でしたが、今後は事前認可を受けた事業者であれば、対象物件を届け出るだけで利用可能に。手続きの簡略化で実務に取り入れやすくなります。
②残置物処理の円滑化
モデル契約条項と死後事務委任契約
国交省が策定したモデル契約条項を活用すれば、入居者が生前に「死後の残置物処理方法」を指定。これにより、相続人とのトラブルを防ぎ、大家の負担を減らします。
実務的ポイント
居住支援法人を処理業務の担い手として活用できるため、信頼できる外部パートナーを見つけやすくなります。
例:孤独死後、法人が速やかに残置物を処理 → 空室期間の短縮に直結。
特に、対象が60歳以上の単身高齢者に限らず、60歳未満の単身者でも一定の場合に利用可能となるよう拡大された点が注目されます。
③家賃債務保証制度の見直し
国交大臣が認定する保証会社が登場※。保証人不要や法人を緊急連絡先に認めるなど、高齢者も借りやすい条件に。未払い家賃や原状回復費用を再保険でカバーする仕組みも導入されます。大家にとって「安心して貸せる」仕組みが整います。
実務への効果
保証人不在で入居を断っていたケースも、今後は保証制度の活用で受け入れ可能に。空室解消の大きな一手となります
※認定事業者は、居住サポート住宅への入居申し込みを原則として正当な理由なく断らない、緊急連絡先を法人にも認め個人に限定しない、保証人の設定を求めない、保証委託料が不当に高くないといった基準を満たす必要があります。さらに、大臣認定保証業者に対しては、住宅支援機構(JHF)が未払い家賃だけでなく、現状回復費用も対象とする再保険契約を結ぶことで、家賃債務保証業者のリスクを軽減し、要配慮者の受け入れを促進します。
④ 居住サポート住宅の供給促進
通常の賃貸に「ライトな見守り」※を加えた住宅。センサーや定期連絡で異常を早期発見し、必要に応じて医療・福祉機関につなげます。
メリット
大家:孤独死リスクを軽減、安心して高齢者に貸せる
高齢者:自立を維持しながら安心して暮らせる
行政:補助金制度(例:バリアフリー改修費用の1/3補助等)で普及を後押し
※補足:「ライトな見守り」の具体例
「ライトな見守り」とは、介護や医療サービスのように直接的な生活支援を行うのではなく、日常の安否確認や異変の早期発見を目的とした仕組みです。
- ICT機器による見守り:センサーでドアの開閉や水道の使用状況を把握し、一定時間動きがない場合に通知
- 定期的な連絡:月1回〜週1回の電話や訪問で生活状況を確認
- 異変時のつなぎ役:体調不良や生活リズムの乱れを察知した際、地域包括支援センターやケアマネージャーへつなぐ
このように「住宅側が直接介護を提供するのではなく、見守りと橋渡しを行う仕組み」である点が大きな特徴です。
⑤住宅と福祉の連携強化
居住支援協議会の活用
市町村単位で不動産業者と福祉機関が協議する場を設け、困難ケースを共有・解決。管理会社が抱え込むのではなく、地域包括支援センターや介護事業者、ケアマネージャーとの協力、入居者を地域全体で支える「包括ケアシステム」の一員となれます。これは空室対策だけでなく、地域貢献や入居者満足度向上にも直結します。。
連携の実務的メリット
管理会社:入居後のリスク負担を軽減。トラブル時に専門家へ相談可能
福祉事業者:将来顧客の確保につながる
行政:生活保護の住宅扶助費代理納付で滞納リスクを低減
まとめ
高齢化は確実に進行し、避けられない現実です。
今後は「リスク回避」ではなく「高齢者との共生」を前提とした賃貸経営が求められていくでしょう。
改正住宅セーフティネット法を正しく理解し、終身建物賃貸借や居住サポート住宅、認定保証会社を活用することが、オーナー様のご不安軽減と入居促進につながります。
さらに、見守りサービスや残置物処理業者との連携、地域包括支援センターや介護事業者との協力が持続的な賃貸経営を支えます。
「高齢者だから断る」姿勢を見直し、条件付き受け入れを進めることが、空室対策と新しい経営機会を生み出す鍵となります。
この内容が、皆様の現場における高齢化対策の一助となれば幸いでございます。
※本コラムは「どう変わる?どう備える?改正住宅セーフティネット法対策」(主催:公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会、2025年8月開催)のセミナー内容を参考にしています。

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